ピルビン酸エステルからの有機分子触媒を用いたワンポット反応による官能化ジヒドロピランの合成 (No. 0022)

 
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概要

ジヒドロピラン類は、様々な医薬品やその他の生理活性分子に見られる構造を有し、重要な化合物のカテゴリーです。ジヒドロピラン誘導体は、一般的にピルビン酸エステルから高温の非触媒反応により合成されますが、この方法ではピルビン酸エステルの求電子/求核の二重反応性を制御することは困難です。さらに、この合成法では、ワンポットで生成物をさらに官能基化することができません。田中富士枝教授率いるOISTの研究チームは、ピルビン酸エステルとアルデヒドから多種多様なジヒドロピラン誘導体をワンポットで、温和な条件下、高収率かつジアステレオ選択的に製造する新規な触媒的合成経路を開発しました。

 

教授:
田中 富士枝

生体制御分子創製化学ユニット

応用

  • 創薬
  • 治療薬

 

利点

  • ワンポットでできるシンプルな合成プロセス
  • 温和な条件(室温)
  • 高い収率とジアステレオ選択性
  • 多数の候補化合物

Figure 1. (a) ピルビン酸エステルとアルデヒドのワンポット反応によるジヒドロピラン誘導体の生成 (b) さらにワンポットでのジヒドロピラン官能基化。

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技術のポイント

適切な触媒を用い、反応条件を調整することで、ピルビン酸エステルの二重反応性を制御し、非酵素的反応で官能化ジヒドロピラン誘導体を生成できることを明らかにした。さらに、この生成物をワンポットでカスケード反応させることにより、様々な機能性分子を生成させることができます。テストしたいくつかの有機分子触媒の中で、ピロリジン-3-カルボン酸(β-プロリン)が最も優れた特性を示すことが分かりました。最適化した合成方法は、ピルビン酸エチル、アルデヒド、およびβ-プロリンを用い、CH3CN中250℃の条件下で反応を行います。その結果、ジヒドロピラン生成物を、単一のジアステレオマーとして72%の収率で得ることができました。

 

メディア掲載・プレゼンテーション

 

問い合わせ先

  
OIST Innovation 技術移転セクション

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