ナノアーチ構造を持ったシリコンアノード(No.0189)
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概要
リチウムイオン電池のエネルギー容量とサイクル特性を同時に向上させることができる新規シリコンアノード(負極)。
リチウムイオン電池の世界市場規模は、年平均12.3%で1,170億米ドルに達すると予想されています。シリコン材料は、高容量のリチウムイオン電池(以下LIB)に使われるグラファイト(黒鉛)アノード電極の代替材料として期待されています。理論上、容量を10倍に増加できるためです。しかしリチウム化と脱リチウム化の間でシリコンの容積が大きく変化するため、電極に亀裂が発生し安定した固体電解質界面の形成を阻害し、クーロン効率が下がってしまいます。パナジオティス・グラマティコプロス博士らの研究グループが開発したシリコンアノードは、アーチを形成するアーチ構造を成し、この構造によりリチウムイオン電池が持つ上記の問題を克服しつつ、エネルギー密度と長期サイクル安定性を同時に向上させることができます。
応用
- 電池
- バイオインプラント
- 水素貯蔵
利点
- 耐久性
- サイクル回数の増加
- 大エネルギー容量
- 高クーロン効率
技術のポイント
本発明ではアーチを形成するヴォールト(円天井)構造をナノスケールで導入しました。このアーチ構造はLIB用シリコンアノードの新しいデザインに成り得るだけでなく、表面力学が重要となる素材やアプリケーション(水素貯蔵やバイオインプラントなど)にも応用できます。3ステップの成長プロセス(図a)でアーチ構造が形成され、円柱状のアモルファスシリコンフィルムが出来上がります。円柱同士が接触するとアーチ構造になり、応力を分散させやすいヴォールト構造でアノードを覆い、リチウム化・脱リチウム化のサイクルの中でシリコン電極への亀裂を防ぎます。
そして最も大事な点として、ヴォールト構造を何層にも重ることができ、これによりシリコン量を増加させ、また電極と固体電解質界面双方の安定性を同時に向上させることが可能になります。
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