多用途に応用できるアリールおよびトリフルオロメチル置換第3級アルコールの新規合成方法 (No. 0081)
<< 技術一覧に戻る |
概要
アリールおよびトリフルオロメチル置換第3級アルコール構造を有する分子は、生理活性分子、エナンチオマー識別試薬、ビルディングブロック等として必要とされ、特に製薬において重要です。しかし、これらの分子を合成する既存の方法は、複雑なプロセス、長い反応時間、事前活性化や保護・脱保護の工程を必要とするなどの多くの欠点があります。田中富士枝教授を中心とする研究グループは、これらの分子の迅速かつ簡便な合成方法を開発しました。1,8-diazabicyclo[5.4.0]undec-7-ene(DBU)を触媒として、ケトン供与体とアリールトリフルオロメチルケトン受容体のアルドール反応に基づき、温和な条件下で合成でき、反応時間が短く(1.5時間)、優れた収率(95%以上)を有します。また、この合成方法によって完全な位置選択性を得ることができ、製品の応用範囲が広がります。
応用
- 生理活性分子
- 治療活性物質
- エナンチオマー識別・認識試薬
- ビルディングブロック
- 有機触媒反応などの他の方法の補完
利点
- 短い反応時間(1.5時間)
- 優れた収率 (>95%)
- スケールアップが容易
- 温和な条件 (25℃)
- 高エナンチオマー純度
技術のポイント
本合成方法は、1,8-diazabicyclo[5.4.0]undec-7-ene (DBU) を触媒として、ケトン供与体とアリールトリフルオロメチルケトン受容体のアルドール反応を利用します。この反応により、トリフルオロメチル置換されたアルコール部分を有する四置換炭素中心を持つ分子を生成します。これにより、アルキルメチルケトンのメチル基でアルドール反応のC-C結合が完全な位置選択性を伴って生成されます。ホモキラルアミンを用いたエナミン生成を通した光学分割によってアルドール生成物のエナンチオマー純度が確保できます。DBUは触媒量のみ、室温下で1.5時間という短時間の反応で最適な合成が可能となります。
メディア掲載・プレゼンテーション
問い合わせ先
OIST Innovation 技術移転セクション
tls@oist.jp
+81(0)98-966-8937