電界が一様なマルチウェルプレート (No. 0088)
<< 技術一覧に戻る |
概要
細胞培養のための電界が均一な新規マルチウェルプレート。
世界の細胞培養市場規模は、2027年までに年平均10.9%で成長し37,000百万米ドル規模に達すると見込まれています。細胞培養とは、制御された条件下(in vitro)で生きた植物、動物、ヒトの細胞を育てることと定義されます。この人工的な環境は、理想的な温度、ガス、pH、湿度、電界などで構成されており、細胞の成長と増殖には欠かせない要素です。しかし、in vitro電界刺激デバイス、特に標準的な円形培養器具では、均一な電界(EF)を作り出すことが困難です。そのため、アッセイの際に使用できる面積や細胞の収量が減少してしまう問題がありました。エイミー・シェン教授が率いる研究グループは、上記の問題を解決する均一な電界を作りだせるマルチウェルプレートを開発しました。
応用
- 細胞組織工学
- エレクトロポレーション
- タンパク質作成
利点
- 高い細胞収量(1桁向上)
- 培養面積の拡大(2倍)
- 既存の培養デバイスへの導入が容易なモジュラーデザイン
技術のポイント
本技術は円形シャーレ用のインサートで、塩橋を形成する液体で満たされたシャーレに均一な電界を発生させることができます。このインサートは、円形状のスペースを規定する円形状の底板と、その底板の円状周縁部から垂直に立設された側部チャネルと、その側部チャネルと連通する概ね平面状の一対の電流整流チェンバーとから構成されています。また、電流整流チェンバー(一対)を橋渡しする側路の一部は、それぞれ電流整流チェンバー間の中央部に最下点を有する凹状のトッププロファイルを有しています。それにより、塩橋が確立された際に底板によって規定される円状空間に、その空間の実質的な全領域に対して実質的に均一な電界を発生させることができます。その均一な電界は、円形シャーレ面積の90%までに及びます。
メディア掲載・プレゼンテーション
ニュース: 細胞研究を後押しするペトリ皿の発明:その秘密は電流経路の工夫にあり?
問い合わせ先
OIST Innovation 技術移転セクション
tls@oist.jp
+81(0)98-966-8937