様々な治療に応用できる、無保護2-N-アシル-アルドヘキソースからC-グリコシドを直接合成する方法 (No. 0080)

 
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概要

C-グリコシド類(C-glycosides)は、非常に安定な生理活性分子であり、その治療活性は広く知られています。これらの分子は自然界に存在し、プローブ、ビルディングブロック等として合成されています。そして最も重要な応用として、抗がん剤、抗糖尿病剤、抗ウイルス剤、抗菌剤など、多くの治療用途もあります。このように重要な分子であるにも関わらず、現在のc-グリコシド合成法は比較的限られており、望ましい生理活性を持つもつ重要な化合物へのアクセスを提供できていないのが現状です。田中富士枝教授率いる研究チームは、無保護糖と不活性化ケトンから、アノマー位でのC-C結合形成を介してC-グリコシド類を合成する新しい方法を開発しました。本方法は、従来報告されている方法では合成できないC-グリコシド誘導体の合成を可能にするだけでなく、原子経済的かつ温和な条件下で高い立体選択性を示す化合物が合成できます。

 

教授:
田中 富士枝

生体制御分子創製化学ユニット

応用

多目的に利用できる生理活性化合物の生成:

  • C-グリコシド類、複合多糖類、炭素鎖伸長型糖類および関連化合物
  • 治療薬、生理活性候補物質、プローブ、シントン、ビルディングブロック用途の分子

 

利点

  • 優れた立体選択性 (>10:1)
  • 穏やかな反応条件 (25 ℃)
  • 原子経済的で段階数の少ない反応
  • 既知の方法では実証されていない生成物が合成可能

Figure 1. 未修飾アルドピラノースのアノマー位でC-C結合を形成し、C-グリコシドを生成 (a)触媒系(本発明) (b)無触媒法での遷移状態

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技術のポイント

本技術は、無保護2-N-アシル-アルドヘキソース類から出発し、無保護糖アノマー中心での C-C 結合形成を通して C-グリコシド類を合成する新規の方法です。第一ステップでは1,3-ジケトンとのクネーフェナーゲル縮合反応、およびアシル基の脱離反応を行い、第二ステップで1,3-ジケトンとアシル基の縮合反応を行い、次にアシル基の脱離反応を行います。最終ステップにて無保護糖とアセトンなどの単純ケトンとのアルドール縮合、およびオキサマイケル環化反応を行い、C-グリコシド類を生成します。

 

メディア掲載・プレゼンテーション

 

問い合わせ先

  
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