アルツハイマー病治療のための新しいペプチド医薬品(No. 0230)
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概要
アルツハイマー型認知症(AD)は、全世界で約5,000万人が罹患していると推定されており、現在、有効な治療法は確立されていません。AD治療薬として承認されているのはアセチルコリンエステラーゼ阻害剤とNMDA受容体拮抗剤のみで、神経の構造には効果がなく、患者の延命にはつながりません。また、L-ドパの投与などの他のアプローチの効果も永続的ではなく、これが枯渇すればドパミン作動性ニューロンの死により病気が再発します。OISTの研究チームは、神経変性疾患のシナプス前メカニズムを解明し、MT-ダイナミン相互作用を阻害することでタウタンパク質によるエンドサイトーシス障害を防止する合成ペプチドを開発し、神経伝達を回復させることに成功しました。これは、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患の患者の認知機能を持続的に回復させる新しい治療法として期待されます。
応用
- 医薬品開発
- 神経変性疾患
- アルツハイマー病
利点
- シナプスの機能を回復させる
- 中分子
技術のポイント
神経変性疾患に関する細胞生物学的研究は、主に神経細胞死やシナプス後機能障害を対象としてきました。OISTの研究チームは、代わりに神経変性疾患がシナプス前機能に及ぼす影響を調べることで、野生型の高リン酸化タウ(WT h-tau)が微小管(MT)の重合を介してダイナミン欠乏を引き起こし、シナプス小胞のエンドサイトーシス、ひいてはシナプス伝達を阻害することを発見しました。WT h-tauのエンドサイトーシスと伝達に対する悪影響を防ぐために、研究チームはMT-ダイナミン結合をブロックし、シナプス機能不全を防止するドミナントネガティブペプチドPHDP5を開発しました。
メディア掲載・プレゼンテーション
問い合わせ先
Graham Garner
技術移転セクション
tls@oist.jp
+81(0)98-966-8937