Issue 6 2023年6月 アライシップ
今月のトピック:アライシップ
プライド月間とLGBTQIAの仲間たちを祝して、今月号では多様な社会のすべてのメンバーを支援し尊重するためのツールとしての『アライシップ』にスポットライトを当てます。アライシップの精神は、OISTのコアバリューを反映しています。(OISTのコアバリューについては、ホームページ1をご参照ください。 )
アライは、マイノリティの人々のアイデンティティ、貢献、意見を肯定します。 マイクロアグレッション、偏見、不公平にさらされている人々を擁護し、力を与えるべく後押しをします。マイクロアグレッション、偏見、いじめを直接的に、もしくは間接的に取り除くようはたらきかけをします。そうすることで、影響を受けた個人のアイデンティティを肯定しながら、マイクロアグレッサーを教育する機会もあり得ます。私たちは、一人ひとりが強い帰属意識を持ち、誰もが本来の自分らしさを発揮できる組織文化を育むために、アライシップの実践方法を学びとることができるのです。
科学的根拠
アライは、組織的に形成された固定観念や無意識の偏見に直接対処し、行動を起こして他の傍観者に模範を示すために歩み寄ることができます(Coker et al, 2015; Midgett, Doumas, Trull, & Johnson, 2017)。まず第一に、アライが偏見的な態度(例えば、人種や性別の偏見を示す発言)に直接立ち向かうことが重要であり(Smith et al., 2018)、さらに、これらのアライによる不当行為への対応は、攻撃的にならずとも最も効果的に達成することができます(Hyers, 2010)。アライにより指摘を受けた人は、そのきっかけにより内省的になることが期待できるため、不当であったり偏見に満ちた今までの行動や言動を見直す契機を得ることになります。同時に周囲の人にとっても、将来マイクロアグレッションを目撃したときに、より敏感に反応できるようになります。また、自分自身の暗黙の偏見を自戒するようになる効果も期待できるかもしれません(Blanchard, Lilly, & Vaughn, 1991; Monteith, Deneen, & Tooman, 1996)。アライは、マイノリティの人が職場においてしっかりと参加・発言できるように、インクルーシブで安全な職場環境の構築に貢献します(Law, Martinez, Ruggs, Hebl, & Akers, 2011; Wessel, 2017)。よって、アライシップはウェルビーイングの向上と組織における強い帰属意識につながるのです(Lloren & Parini, 2017)。
今日からできる実践方法
ここでは、あなたがアライになるための7つのアクションを提案します:
- - 自分自身の潜在的なバイアス、偏見、信念を含め、差別を引き起こすメカニズムに気づき、理解する
- - マイノリティのグループや個人が直面する問題や経験について、どのように話題にすべきかを学ぶ
- - 周囲の人を教育し後押しすることによって、傍観者になったり偏見を無視したりしないよう促す
- - 偏見を蔓延させる言動に立ち向かうなど、反差別の姿勢を公的に支持する
- - ピア・メンタリングサークルに参加し、多様なアイデンティティ、経験、視点への理解を深める(C-Hubのピアメンタリングプログラム2参照)。
- - ハーバード大学のImplicit Associationテストを受ける(英語のテスト3、日本語のテスト4、テストについての詳細5)。
- - この夏、C-Hubが開催するワークショップ「マイクロアグレッション、インプリシット・バイアス、そしてアライシップ」に参加する。(正確な日程は未定ですが、今後の告知をお待ちください。)
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参考文献と関連資料
Blanchard, F. A., Lilly, T., & Vaughn, L. A. (1991). Reducing the expression of racial prejudice. Psychological Science, 2, 101105.
Coker, A. L., Fisher, B. S., Bush, H. M., Swan, S. C., Williams, C. M., Clear, E. R., & DeGue, S. (2015). Evaluation of the green dot bystander intervention to reduce interpersonal violence among college students across three campuses. Violence Against Women, 21, 15071527.
Hyers, L. L. (2010). Alternatives to silence in face-to-face encounters with everyday heterosexism: Activism on the interpersonal front. Journal of Homosexuality, 57, 539565.
Law, C. L., Martinez, L. R., Ruggs, E. N., Hebl, M. R., & Akers, E. (2011). Transparency in the workplace: How the experiences of transsexual employees can be improved. Journal of Vocational Behavior, 79, 710723.
Lloren, A., & Parini, L. (2017). How LGBT-supportive workplace policies shape the experience of lesbian, gay men, and bisexual employees. Sexuality Research and Social Policy, 14, 289299.
Midgett, A., Doumas, D. M., Trull, R., & Johnson, J. (2017). Training students who occasionally bully to be peer advocates: Is a bystander intervention effective in reducing bullying behavior? Journal of Child and Adolescent Counseling, 3, 113.
Monteith, M. J., Deneen, N. E., & Tooman, G. D. (1996). The effect of social norm activation on the expression of opinions concerning gay men and blacks. Basic and Applied Social Psychology, 18, 267288.
Smith, N. A., Labadie, B. R., McCord, M. A., Martinez, L. R., Hamilton, K. M., Carsey, T. A., Zinno, S. E., & Sculley, J. R. (2018). Outspoken allies: Meta-analysis of prejudice confrontation research. In Workplace allies: Exploring the stages in becoming an effective and vocal ally. Symposium presented at the Annual Society for Industrial and Organizational Psychology Conference, Chicago, IL.
Wessel, J. L. (2017). The importance of allies and allied organizations: Sexual orientation disclosure and concealment at work. Journal of Social Issues, 73, 240254.