5. 番外編:Nature記事の余波

外部研究資金セクションマネジャー 杉原 忠氏インタビュー

杉原 忠氏プロフィール▼

杉原忠
Tadashi Sugihara

杉原忠マネジャー

東北大学理学部物理第二学科卒業
九州工業大学大学院情報科学専攻 博士(情報工学)
理化学研究所脳科学総合研究センター、米国ジョンズ・ホプキンス大学、ロチェスター大学などでシステム神経科学、認知脳科学研究に従事
2012年より京都大学学術研究支援室URA
2014年よりシニアURA、副室長
2017年よりOIST外部研究資金セクションマネジャー
2020年アジア初のNCURA Chair of Region VIII (International Region)
NCURA MagazineではAsia Pacific RegionのContributing Editorを務めた(2015-2018)
RA協議会代議員・運営委員(2015-2020)

- Natureにインタビュー記事が掲載されたことについてですが……
その件ですね。はい。よく「おめでとうございます」と言われたのですが、全然そういう気分じゃなかったです。なぜなら、ただ、インタビューを受けただけであって、自分でその記事を書いたわけではないですからね。
Nature のインタビュー記事はこちらでご覧になれます▶

- そんな感じだったのですか?
はい、正直なんと答えたら良いのか戸惑いました。自分が研究者だったときには、NatureやScienceに自分の研究成果を発表することは、目標でもあったし、研究室から求められていたことでもありました。それを、いわばインタビューを受けただけでNatureに掲載されるなんて、抜け道だなぁって思いました(笑)。それも最初にライターからメールコンタクトがあったときには、怪しげなメールだと思って削除するつもりでしたから。

- 削除しなくて良かったですね(笑)。でも反響はあったわけですよね?
何かが大きく変わったということはまるでありませんよ。有名人になんて、なってません。メディアで大騒ぎになったわけではないですから(笑)。英文で掲載されてすぐに、HarvardやDukeなどの友達がお祝いや感謝のメールを送ってくれました。「研究支援の記事が注目されるなんてありがとう!」と。先ほどお話ししたように私は戸惑いました、私が記事の中心に見えるかもしれませんが、複数の人にインタビューした著者であるSaraがまとめただけなので。でも、素直にうれしかったですね。こういう形でURAという仕事に貢献できて。

- 記事全体についての感想をお聞かせ下さい。
URA/RMAの楽しいところ、難しいところ、両面バランス良くまとめてくれています。URA事業が日本で始まったときには、大学人からすると元ポスドクが「腰掛け」で就職したのか?という目で見られていたと思います。事務方からすると、URAで事務的な仕事に通じている人は少なかったでしょうから、事務方としてはいわばあまり使えない、それならどこまで専門性を使って大学に貢献できるのか未知数だと思われていたはずです。多くの大学でURAの有用性は認められたと思いますが、その貢献度に対する大学の認識は、大学の方向性や規模で大きく異なるかもしれません。まだしばらく日本のURAの闘いは続きそうですね。

ネコと一緒にくつろぐ杉原マネジャー