人工知能美学芸術展

目次

趣旨

 人工知能は芸術創造の分野にまで侵触するのか。人工知能に美意識が芽生え、自律的に芸術を創作する未来はあり得るのか。

 2016年3月、囲碁は芸術であると語っていた世界トップ棋士が人工知能に敗退した。かつてなら荒唐無稽でしかなかった冒頭の問いは、深層学習法等が飛躍的に発展しつつある今、現実味が全く無いとは言い切れなくなった。とはいえ現今の「人工知能が創作した芸術」とされているものは、その殆どが、人間が人工知能という道具を使って制作した代物でしかない。だが逆向きに言おう。それがまだ先のことだとしても、今から我々は、人工知能が真の意味で美学を創発し、芸術を創作する事態に備えるべきである。なぜなら知能とは何か、芸術や美や人間の尊厳とは何かが、人工知能という要因によって根底から問い直されざるを得なくなるからだ。

 本展は2017 年時点でのそうした問題意識の顕れとして、国内外の表現者や研究者による人工知能をテーマとする芸術の現在を垣間見せるものである。視覚芸術分野を中心に、音楽、文学、コンセプチュアルアートから、広く知能を問う研究発表までも含める。

 世界初となる「人工知能=AI」の総合芸術展に刮目されたい。

スケジュール

【名称】人工知能美学芸術展 (Artificial Intelligence Art and Aesthetics Exhibition)
【会期】2017年11月3日(金・祝)– 2018年1月8日(月・祝) 無休(年末年始調整中)
【時間】9:00-17:00
【会場】沖縄科学技術大学院大学[OIST] 沖縄県国頭郡恩納村字谷茶1919-1

Schedule for 2017 Artificial Intelligence Art and Aesthetics Exhibition (AIAEE) at OIST 人工知能美学芸術展 スケジュール
日付 時間 タイトル 開催場所
2017
13:30 新・方法 「テープカット」 展覧会 センター棟 C階 センターコート(屋外)
14:30-18:00 機械美学音楽 コンサート 講堂
19:00-22:00 オープニングレセプション 展覧会 OISTシーサイドハウス
14:30-18:00 環世界音楽と機械学習 コンサート 講堂
14:30-18:00 人工知能音楽の先駆 コンサート 講堂
14:30-18:00 人工知能との協働 Day1 コンサート センター棟B254 (屋外)
11:30-13:00 人工知能との協働 Day2 コンサート センター棟B254 (屋外)
14:00-19:00 AI美学と芸術 シンポジウム 講堂
10:00-16:00 OISTサイエンスフェスタ 2017 OISTキャンパス
14:00-19:00 意味/無意味と言語 シンポジウム セミナールームB250
14:00-19:00 未来のAI シンポジウム セミナールームB250
14:00-18:00 第12回AI美芸研 研究会 Tomari (那覇市)
14:00-18:00 第13回AI美芸研 研究会 Tomari (那覇市)
2018
14:00-19:00 AI美学と多神教 シンポジウム 講堂
14:00-19:00 人工意識/人工生命 シンポジウム 講堂
14:00-19:00 AI美学と機械 シンポジウム 講堂
19:30-21:30 クロージングパーティー 展覧会 センター棟 C階 Café Grano

組織

【主催】

【共催】

【協賛】

新学術領域研究「人工知能と脳科学の対照と融合」
ポスト「京」萌芽的課題 「全脳シミュレーションと脳型人工知能」

【協力】

  • 合同会社沖縄音楽創造機構
  • 合同会社沖縄音楽創造機
  • 森田ピアノ工房、京都大学霊長類研究所

※本展は日本学術振興会の「課題設定による先導的人文学・社会科学研究推進事業」の助成を受けて開催されることを目指しております。

展示コンセプト

「作品解説」

 美学を、人間のそれと機械のそれに分ける。芸術を、人間のそれと機械のそれに分ける。そうして生じた4つの部門に分けて展示を行う。

【I】 人間美学/人間芸術

 人間が自らの美学で作る芸術は、ルネッサンス以来の多くの芸術である。

【II】 機械美学/人間芸術

 機械的美学に則り人間が作る芸術は、20世紀のシステミック・アートや音列作曲、視覚詩等にその類型を辿ることができる。本展ではそうした作例に加え、人工知能をテーマとした21世紀の表現者たちの新作も展示する(一部作家にはAIをテーマとした新作を依頼)。

【III】 人間美学/機械芸術

 人間的美学に則り機械が作る芸術は、現今の「人工知能が創作した芸術」とされるものであるが、その殆どは人間が自動制御プログラムを走らせて制作した代物である。本展ではそうした作例も2017年時点のひとつの到達であるとして展示する。

【IV】 機械美学/機械芸術(と、そこに至る道程)

 機械が自らの美学で作る芸術はまだ実現していないが、我々が見たいもの、我々が目指すものである。本展ではこれを希求するコンセプチュアルアートや研究者による展示発表、2016年に中ザワヒデキが起草した「人工知能美学芸術宣言」を展示する。また、そこに至る道程として、知能とは何かを問う研究の成果物等も展示する。