琉歌
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Introduction
文芸創作や作曲に興味がありますか。もしそうだとしたら、着想を得るヒントになるかもしれません。
琉歌というのは、沖縄と奄美の島々を起源とする定型の歌・詩のジャンルです。俳句が5・7・5の音で構成されるのに対し、琉歌のほとんどは8・8・8・6音で構成されます。琉歌は詠むための歌であると同時に謳うための歌でもあります。
Famous Ryuuka
かぎやで風
きゆぬふくらしゃや(今日のほこらしゃや) - 今日の喜びを
なうにぢゃなったてぃる(何にぎゃな譬る) - 何とたとえることができましょう
つぃぶでぃうるはなぬ(莟でをる花の) - 莟んでいる花の
ちゆちゃたぐとぅ(露行逢たごと) - 朝露を受けて咲き開いたような心持ちです
かぎやで風の歌は、結婚式など祝儀の席の冒頭で琉球舞踊の踊りと共に披露されます。祝儀の席でこの歌が披露される理由は、この曲が元々国家の平安と五穀豊穣を願い作られたものだからと言われています。
A Ryuuka artist from Onna village
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恩納村出身の琉歌の名人と知られる恩納ナビーについては皆さんもうお聞きになったことがあるでしょう。ナビーは農家の家に生まれたと言われています。彼女の琉歌は農民の心情や情熱的な恋愛について力強く歌っているのが特徴です。彼女が詠んだ有名な琉歌の一つは政府を批判した内容にも関わらず首里の王府で演奏される「恩納節」の歌詞となり、王府の役人に歌い継がれました。
うんなまちしちゃに - 恩納松の下に
ちじぬふえたちゅす - 禁止の立て札が立っているというが
くいしぬぶまでぃん - まさか男女の恋を忍ぶことまでも
ちじやねさみ - 禁止するようなおふれではないでしょう
この琉歌の中で彼女が述べている立て札とは、清の副使節が島の北部を視察に訪れる前に首里王府の役人によって立てられたと言われています。その内容は、恩納地区の若者に番所のある恩納松の近くで毛遊び(もーあしびー)を開くことを禁止したものでした。毛遊び(もーあしびー)とは、若い男女が舞踊を楽しみながら将来の伴侶をさがすといった交流の場でした。しかし、毛遊び(もーあしびー)は琉球王府から「野蛮」なものだとみなされていました。そのため、清の使節が訪れる場所でこのようなパーティーを開くことを禁止する立て札が立てられたのです。