第2回 2022年6月21日(火)17:00

参加登録はこちらから>>#2 OISTxASJ Future of Energy & Climate Seminar Series

OISTxASJエネルギーと気候の未来セミナー第2回へようこそ。今回は、イギリス政府で主席科学顧問や外務大臣任命気候変動特別代表を務めたデビッド・キング卿が「気候変動:今こそ必要な行動」と題して基調講演を、そしてパネルセッションのオープニングトーク「1.5度パスウェイを阻むもの」を長年経済産業省においてエネルギーや気候変動問題の交渉をリードされた有馬純東京大学特任教授が、それぞれ行います。質疑応答の後には現地参加の方々のネットワーキングセッションも開催されます。

皆様の奮ってのご参加、お待ちしております!

「気候変動:今こそ必要な行動」 デビッド・キング卿
加速する気候変動の世界的な影響に直面する中、デビッド・キング卿は、人類と地球が生き残り、繁栄する可能性をいかにして取り戻せるかについて議論します。Climate Repair(クライメート・リペア、気候修復)は、将来の気候安定化のための拡張性のある安全な処方箋を提供します。この戦略では、3つの早急な気候修復策を講じます。1) 温室効果ガス排出をゼロに近づけるために、排出量を削減。2)大気中の過剰な温室効果ガスを大規模に除去。3)1と2を達成するための時間を稼ぐために、極夏期間に北極海の海面を再氷結させ、北極圏地域を修復。私たちに残された時間はわずかです。今すぐ行動を起こす必要があるのです。

「1.5度パスウェイを阻むもの」 有馬純教授
COP26 で野心的なグラスゴー気候協定が採択されました。しかし、野心的な声明が必ずしも同等の行動につながるとは限りません。IEAの持続可能な復興に関するビジョンに反し、COVID-19からの復興過程では、2021年のCO2排出量が最も多くなりました。昨年秋以降のエネルギー危機は、ウクライナ戦争でさらに悪化しています。ロシア産エネルギーへの輸入依存度低下は、クリーンエネルギーへの移行を加速させる可能性がありますが、他方で、ロシアからのエネルギー供給を代替するには、1.5度パスウェイと相容れない化石燃料への追加投資が必要となります。SDGs17項目の優先順位は先進国と途上国で大きく異なり、途上国ではSDG 13番(気候変動対策)は最優先事項ではありません。欧州とアジアのLNG供給競争は、ガス価格をさらに上昇させ、アジアの途上国での石炭から天然ガスへの燃料転換を阻害する可能性があります。より根本的には、ロシアのウクライナへの侵攻後の「分断された世界」は、気候変動対策におけるグローバルな協力体制を脅かすことになるかもしれません。様々な悪環境の中で、気候変動対策を持続させるために、私たちは何ができるでしょうか。  

<イベント詳細 >

>6月21日 17:00

(英語から日本語への同時通訳となります。)

17時    

開演司会:マネックスグループジャパン グローバルアンバサダー イェスパー・コール氏 

ピーター・グルースOIST学長 挨拶 

17時05分   基調講演 
 

「今こそ必要な行動」 

ケンブリッジ大学名誉教授 兼 同大学

Center for Climate Repair創設者・会長 

デビッド・キング卿 

17時35分     

 

パネルセッション・オープニングトーク 

東京大学公共政策大学院特任教授 有馬  

17時50

 

 

パネルディスカッション 

パネリスト:キング卿、有馬教授、グルース学長 

司会コール

18時10分     質疑応答
18時30分     ネットワーキングセッション(現地参加者のみ)
19時30分      終了

場所: 国際文化会館 B1 岩崎小彌太記念ホール 

アクセス地図: https://www.i-house.or.jp/access.html 

 

料金:会場参加者は5000円オンライン参加は無料  

*受付で現金でのみのお支払いとなります。領収書を発行致します。 

 

連絡先: OIST東京オフィス:  tokyo-office@oist.jp 

    アジアソサイエティジャパン:  info.japan@asiasoicety.org 

 

スピーカー略歴

 

デビッド・キング卿(サー・デビッド・キング) 

デビッド・キング教授は、ケンブリッジ大学化学名誉教授、1993年に設立された大学内のCenter for Climate Repair創設者および会長気候危機諮問グループ議長、SYSTEMIQ社アフィリエイトパートナー、ルワンダ大統領上級戦略顧問、Clean Growth Leadership Network(CGLN)創設メンバーを務める2008年から2012年までオックスフォード大学スミス・スクール・オブ・エンタープライズ・アンド・ザ・エンバイロメント創設ディレクター、1993年から2000年までケンブリッジ大学化学部長、1995年から2000年までケンブリッジ大学ダウニング・カレッジの学長を務め 

 

英国政府首席科学顧問(2000-2007年)、外務大臣気候変動特別代表(2013-2017年)、未来都市カタパルト議長(2012-2016年)を歴任し、すべての国に気候変動への対応を説得するため広く活動している。特に中国とインドの政府と協力して、気候変動に対する綿密なリスク分析アプローチを開始し、現在はミッション・イノベーションとして知られる22カ国とECが参加する230億ポンド規模の研究開発国際演習を通して化石燃料を使わない世界経済への移行ために必要なすべての技術を提供する共同プログラムを立ち上げた。 

 

2021年6月には、10カ国から集められた15人の気候専門家からなるグローバルチーム「Climate Crisis Advisory Group, CCAG」を発足させ、毎月、彼らの仕事について一般公開(バーチャル)ミーティングを行っている。CCAGは、私たちの未来を守るために今必要なことを、権威を持って迅速に対応し、それを効果的かつ安全に実現するために必要な行動についてアドバイス行う 

 

ダーバンに生まれ、セント・ジョンズ・カレッジ・ヨハネスブルグとウィットウォータースランド大学で学び、化学を卒業、物理化学で博士号を取得した。 

 

政府最高科学顧問として、気候変動に対して政府が行動する必要性を説き、英国に10億ポンド規模のエネルギー技術研究所を設立することに貢献した。また、洪水から肥満まで、幅広い長期的な問題について政府に助言を行う、綿密な未来予測プロセスを構築した。ルワンダ大統領諮問委員会メンバー、UBS科学顧問(2008-12年)。 

 

表面科学や触媒作用、科学と政策に関する500以上の論文を発表し、世界中の大学から多くの賞やメダル、23の名誉学位を授与されている。 

 

1991年に英国王立協会フェロー、2002年に米国芸術科学アカデミー外国人フェロー、2003年に爵位、2009年にレジオンドヌール勲章を授与された。 


有馬 純  

東京大公共政策大学院特任教授 

21世紀政策研究所研究主幹 

経済産業研究所コンサルティングフェロー 

アジア太平洋研究所上席研究員 

東アジア・アセアン経済研究センター(ERIAシニアポリシーフェロー 

気候変動に関する政府間パネル(IPCC第6次評価報告書執筆者 

 

学歴: 東京大学経済学部卒(1982年) 

 

職歴: 

1982年 通商産業省入省 

1996-1999 OECD日本政府代表部参事官(エネルギーアドバイザー) 

1999-2001 資源エネルギー庁石炭新エネルギー部省エネルギー・新エネルギー部)企画官 

2001-2002 資源エネルギー庁国際課企画官 

2002-2006年 国際エネルギー機関(IEA)国別審査課長  

2006-2007年 資源エネルギー庁国際課長 

2007-2008 資源エネルギー庁参事官 

2008-2011年 経済産業省大臣官房審議官(地球環境担当) 

2011-2015年 日本貿易振興機構(ジェトロ)ロンドン事務所長 

2015 東京大学公共政策大学院教授 

2021年 東京大学公共政策大学院特任教授 

 

著書 

"Energy Policy of the IEA Countries" (2003, 2004, 2005 Edition, International Energy Agency) 

"European Energy Security" (2003 IFRI) 

「私的京都議定書始末記」(2014 国際環境経済研究所) 

『地球温暖化交渉の真実―国益をかけた経済戦争―』(2015年9月 中央公論新社) 

「精神論抜きの地球温暖化対策―パリ協定とその後」(2016年10月刊行予定 エネルギーフォーラム社) 

Energy Security in the Indian Ocean(2017 Sasakawa Peace Foundation) 

「トランプリスク-米国第一主義と地球温暖化―」(2017年10月エネルギーフォーラム社) 

Japan's Energy Quadlemma (2018 Sasakawa Peace Foundation) 

Finding a Viable Path for Reducing GHG Emissions2 (2019 King Abdullah Petroleum Studies and Research Center, KAPSARC) 

“Eco-fundamentalism as a Grist to China’s Mill” (2021) 

“Eco-fundamentalism will ruin our country” (2021)