地域協働プロジェクト

OKEON美ら森プロジェクトでは、沖縄地域社会とのネットワークの構築と、それを通した地域協働を進めています。陸域環境モニタリング網を通じて得られる地産のデータ、研究成果、人材などを活用して、未来の沖縄自然環境の持続的利用と、豊かな自然と共栄する持続的な沖縄社会の実現に貢献することを目指します。

OKEON美ら森プロジェクトでは、自然環境をキーワードとした沖縄地域社会とのつながりを、主に3つのパートナーと発展させています。その3つのパートナーとは、ひとつは「学校教育」、つぎに「社会教育」、そして「行政」です。

学校教育との協働

1.アリ類調査パッケージを活用した沖縄県内高等学校との共同研究

OKEON美ら森プロジェクトでは、沖縄県内の高校における探究活動や部活動向けに15分間単位時間採集法を用いたアリ類の調査パッケージを開発し、共同研究を展開しています。生徒さんと、彼らを率いる先生方の頑張りで、この研究プログラムでは年々確実な成果が上がっています。卒業生の中には、このアリの研究を機に環境教育実践を志して大学へのAO入試による進学を成し遂げた人や、大学へ進学して研究を続ける人がいるなど、次世代の人材育成にも貢献しています。また、高校生たちが採集したサンプルは、研究終了後にOKEON美ら森プロジェクトコレクションに寄贈され、ヒアリ侵入監視調査などさらに大規模な調査研究にも活用さられています。プロジェクトを通した、教育と研究の絶妙で丁度いいWin−Winな協働を目指しています。

これまでの成果

吉村正志, 芳田琢磨, 小笠原昌子, エヴァン・エコノモ (2016) 高等学校科学研究実践活動に対する,単位時間採集法を用いたアリ類研究の提案と実践. 18環境教育研究紀要, 18: 43-47.

高校生の皆さんの研究成果

  • 第39回沖縄青少年科学作品展
    • 入賞 辺土名高校内のアリ相Ⅱ 沖縄県立辺土名高等学校
  • 第40回沖縄青少年科学作品展
    • 入選 辺土名高校内のアリ相Ⅲ 沖縄県立辺土名高等学校
    • 入選 読谷村のアリ相と種多様性に関する調査 〜ヒアリなどの外来種アリの拡散は防げるか〜 沖縄県立読谷高等学校
    • 入選 具志頭海岸におけるアリの分布調査 沖縄県立向陽高等学校
  • 第41回沖縄青少年科学作品展
    • 入選 具志頭海岸におけるアリの生息状況調査Ⅱ 沖縄県立向陽高等学校

社会教育との協働

1.博物館との共同企画展

各地域の博物館は、その地域の知識や資料の集積拠点です。さらに、その知識を展示や観察会などを通じて市民にわかりやすく広める、教育機関としての役割も担っています。OKEON美ら森プロジェクトは、沖縄の地域自然環境に関する新しい研究成果を、市民の皆さんに地元博物館と協力して共同企画展や関連講演として紹介しています。

  • 沖縄市郷土博物館企画展示「罠展」
  • 沖縄県立博物館・美術館 博物館企画展「目からウロコの生物実験展」
  • 沖縄市郷土博物館企画展示「沖縄市の自然 やんばるの入口」
  • 沖縄市郷土博物館企画展示「音で知る自然 沖縄のサウンドスケープ」
  • 環境省やんばる野生生物保護センターウフギー自然館企画展「おきなわのアリから見る生物多様性」

行政との協働

1.各種委員会へ専門家として貢献

これまでの研究生活で培った経験や知識、OKEON美ら森プロジェクトを通して得られる研究成果、そして地域のみなさんとのネットワークから学ぶ多くのこと、それらを基盤として地域課題の改善へ貢献できるよう、沖縄県内いくつかの行政や教育に関係する委員会の委員として提言させていただいています。

2.モニタリングネットワークや専門技術を活用した地域課題解決への貢献

OKEON美ら森プロジェクトが有する研究専門性を持った人材やモニタリング網、社会協働ネットワークは、貴重な生物多様性の持続的な保全と利用を目指す行政施策に有用なデータや知見、技術を提供しています。特に、沖縄県の外来種対策事業(ヒアリ等対策)を通した沖縄県内のヒアリ監視網と社会体制整備をはじめ、そのノウハウのハヤトゲフシアリ防除への拡張(環境省環境研究総合推進費)は、大きな成果であると考えています。
また、2020年の県内での豚熱CSF発生時のリュウキュウイノシシ分布域情報提供や、希少種保全に向けた音声データ解析技術の活用なども行いました。このように、アリ類以外でもプロジェクト内に培われた高い専門性を伴う研究結果や技術を、研究の枠を超えて実社会の課題解決に活用することで、OKEON美ら森プロジェクトの活動は沖縄の持続的発展(SDGs)に貢献しています。

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