細胞分裂動態ユニット (清光 智美)

私たちは、細胞分裂の仕組み、特に脊椎動物の体細胞分裂における対称性制御機構について、最先端の可視化・操作技術等を駆使して研究しています。

多細胞生物の発生過程では、1つの受精卵が細胞分裂を繰り返し、様々な組織を形成します。その分裂過程は、同じ娘細胞を生みだす対称分裂と、異なる娘細胞を生みだす非対称分裂に大別できますが、両者のバランスを適切に制御することが、細胞や組織のパターン形成、個体の発生や維持に重要と考えられています。これまでの研究から、紡錘体の細胞内配置が、細胞分裂の対称性・非対称性の制御に極めて重要であることが分かってきました。しかしながら、紡錘体配置が、どのように細胞内・外のシグナルにより力学的に制御されるのか、その仕組みは十分に理解されていません。

私たちはこれまで、ヒト培養細胞の分裂動態について研究を行い、長年見過ごされてきた対称性制御機構 (紡錘体の細胞中央配置制御システム)を明らかにしてきました(Kiyomitsu and Cheeseman, Nature Cell Biology 2012, Cell 2013)。また最先端のライブイメージングやゲノム編集、光操作技術等を駆使し、紡錘体牽引力を生みだす中枢複合体を同定することにも成功しました(Okumura et al., eLife 2018)。

目標

OISTでは、最先端技術を融合し、紡錘体の細胞中央配置制御システムと、紡錘体牽引力の生成・制御メカニズムを、分子レベルで確立することを目指します。また幹細胞やメダカの初期胚を用いて、発生過程における対称分裂の仕組みについても解析し、その仕組みが加齢やストレスなどの要因によってどのように影響を受けるのかについても、理解を進めます。

参考

Kiyomitsu, T. The cortical force-generating machinery: How cortical spindle-pulling forces are generated. Curr Opin Cell Biol. 2019 Apr 4;60:1-8. Review.

Okumura, M. Natsume, T. Kanemaki, M.T. Kiyomitsu, T. Dynein-Dynactin-NuMA clusters generate cortical spindle-pulling forces as a multi-arm ensemble. eLife. 2018 May 31;7. pii: e36559.

Kiyomitsu, T. and Cheeseman, I.M. Cortical dynein and asymmetric membrane elongation coordinately position the spindle in anaphase. Cell. 2013 Jul 18; 154(2):391-402.

Kiyomitsu, T. and Cheeseman, I.M. Chromosome and spindle pole-derived signals generate an intrinsic code for spindle position and orientation. Nature Cell Biology. 2012 Feb 12;14(3):311-7.