シンポジウム

「AI X ART X AESTHETICS -人工知能に美意識は芽生えるか-」を全体テーマとして、OISTにて全6回のシンポジウムを開催します。各回には個別のサブテーマが設けられ、3名による講演と全体討論で議題を深めます。出演者の一部は展覧会出品者を兼ねています。

モデレート:銅谷賢治(OIST、11/12以外の全回)、中ザワヒデキ(AI美芸研、全回)。J/E(日英)同時通訳

01 AI美学と芸術

第9回AI美芸研 シンポジウム
2017年11月12日(日)
14:00-19:00 (開場13:30)
講堂 / 参加費無料
J/E(日英)同時通訳

パネリスト

  • 畒見達夫
    創価大学理工学部情報システム工学科教授 理工学部長 アーティスト 【展覧会出品者】
  • マイク・タイカ
    分子彫刻とニューラルネットのアーティスト、グーグル社技師、機械学習の研究者【展覧会出品者】
  • 塚田稔展示会情報
    工学博士・医学博士 玉川大学脳科学研究所客員教授・名誉教授、画家(日本画府洋画部専務理事)【展覧会出品者】

モデレート

  • 中ザワヒデキ(AI美芸研)

テーマ

畒見達夫

計算機による計算機のための美学・創造・芸術 — 進化芸術学に向けて

美の根拠は人の感性にあると信じる人々にしばしば遭遇する。また、美は神が創造したものであり、人はそれを理解しようと足掻いているだけであるという人もいる。あるいは、創造性や芸術は人にだけ与えられた特権であり猿や機械には不可能という意見も聞く。それらは本当だろうか?科学的知見によると、人も長い生物進化の流れの中に現れた「種」の1つであり、知能も感性もその結果として出来上がった機能である。もちろん、内省的実感について否定するつもりはないが、人々の間で語られる美、創造、芸術を、進化計算の目から捉え直し、計算機群の間でも同様の現象を語ることは可能ではなかろうか。演者による進化計算と人工生命研究に基づく「進化芸術学」への試みについて紹介する。

マイク・タイカ

Neural networks: a new opportunity for art

Throughout history, technological breakthroughs have often deeply influenced the world of art. We are currently in the midst of such a technological change: artificial neural networks are beginning to be able to perform well on difficult tasks from image or speech recognition to playing complex games such as Go and these technologies are rapidly becoming part of our daily lives. Likewise artists are experimenting with new ways to create art. After a short introduction to neural networks and how they work I will present some of my experiments over the last two years, including making large scale art with Google’s DeepDream algorithm, currently exhibited at OIST. I will also cover experiments with Generative Adversarial Networks to generate a series of imaginary portraits, which explore the strangeness of the "uncanny valley". Finally I will present a collaboration with Refik Anadol where we invite the viewer to consider alternate histories by generating imaginary items based on the real historical archive.

塚田稔

脳と人工知能と芸術

「芸術は人間の創造物であり,人生を如何に生きるかの表現である」。この思いから私は、60年余絵を描いてきた。人工知能芸術が脳の働きや神経回路網のダイナミックな情報表現を取り入れて創作すれば、観客を一層惹きつける作品ができるであろう。人工知能は人間の脳のダイナミックな仕組みを十分に利用していない。いっぽう,脳科学者は芸術家の創作表現から脳内の情報創成のメカニズムを究明すれば、脳研究を一層発展させることができるであろう。 現在、記号処理とパターンダイナミクスの結合が可能になってきた。脳科学、人工知能、芸術の相互コミュニケーションと協力によって大きな“うねり”ができつつある。人間の創造性のメカニズムが明らかにされ,人間の人間たる存在の重要性が理解されていくことを期待したい。

02 意味/無意味と言語

第10回AI美芸研 シンポジウム
2017年11月25日(土)
14:00-19:00 (開場13:30)
セミナールームB250 / 参加費無料
J/E(日英)同時通訳

パネリスト

  • 佐藤直行
    公立はこだて未来大学複雑系知能学科教授
  • ミカエル・シュプランガー
    アーティスト、ソニーコンピュータサイエンス研究所研究員 【展覧会出品者】
  • 松原仁
    公立はこだて未来大学副理事長兼複雑系知能学科教授、元人工知能学会会長 【出品関係者】

モデレート

  • 銅谷賢治(OIST)
  • 中ザワヒデキ(AI美芸研)

テーマ

「“意味”をつくるコンテクストの記憶の神経機構」

佐藤直行(公立はこだて未来大学複雑系知能学科教授)

大脳皮質は環境刺激の特徴を詳しく分析する働きがあり、ヒトの多様な“意 味”処理の基盤である。一方、“意味”は刺激特徴だけでなく、コンテクス ト(状況)によって動的かつ多様に定められるという特徴がある。この動的 な意味処理の神経機構を考える上で、もっとも重要な脳部位のひとつは“海 馬”である。海馬は場所、事象、その時間経緯などのコンテクストの記憶を 司り、柔軟な意味処理に重要な役割を果たすことが知られている。本講演で は、ヒトの複雑なコンテクストを表す際に必須の“言語”との関わりを含め、 海馬におけるコンテクストの表現および計算論に関する私たちの研究を紹介 する。

「自律的意味生成。ロボットは自分の言語を創れるか?」

ミカエル・シュプランガー(アーティスト、ソニーコンピュータサイエンス 研究所研究員)

The talk will review and discuss recent research that tries to identify computational mechanisms and representations that allow embodied agents (robots) to autonomously develop meaning and communication systems. The autonomously developed communication systems share important properties of human language such as compositionality, open-endedness and the need for inference. Through experiments with robots in the real world and in simulation, we explore the role of embodiment in communication. We are particularly interested in mechanisms that allow agents to not only develop communication systems but allow robots to choose and develop the conceptualization strategies for developing communication systems - a key feature of Natural Language evolution. The talk will discuss both recent research trends, as well as attempts at artistic exploration of the subject of autonomous meaning creation.

※(IV)作品「Language Games」展示中。(19)センター棟B階。

「コンピュータにとって意味とは何か」

松原仁(公立はこだて未来大学副理事長兼複雑系知能学科教授、元人工知能学会会長)

人工知能の一つの領域である自然言語処理の技術は機械学習などを用いるこ とによってかなり進歩している。コンピュータが小説を書いたり、入学試験 の問題を解いたりするようになっている。人間は小説を書いたり試験問題を 解いたりするときに(それなりに)意味を理解していると思われるが、いま のコンピュータは人間にとっての意味を理解していない。コンピュータが意 味を理解できるようになるためには「記号接地問題」を解決する必要がある。 人間にとっての実体と記号の接地とコンピュータにとっての実体と記号の接 地は異なるので、人間にとっての意味とコンピュータにとっての意味は異な るものと考えられる。もしかしたらすでにコンピュータは意味を理解してい てその意味が人間に理解できないだけかもしれない。

※(III)名古屋大学 佐藤・松崎研究室「きまぐれ人工知能プロジェクト 作家ですのよ」展示中。(21)センター棟B階。

03 未来のAI

第11回AI美芸研 シンポジウム
2017年11月26日(日)
14:00-19:00 (開場13:30)
セミナールームB250 / 参加費無料
J/E(日英)同時通訳

パネリスト

  • 高橋恒一
    理化学研究所 チームリーダー、全脳アーキテクチャ・イニシアティブ 理事・副代表
  • 中ザワヒデキ
    美術家、人工知能美学芸術研究会(AI美芸研)発起人代表 【展覧会出品者】
  • ロルフ・ファイファー
    チューリヒ大学名誉教授、上海交通大学自動化学科、リビング・ウィズ・ロボット社科学コンサルタント

モデレート

  • 銅谷賢治(OIST)
  • 中ザワヒデキ(AI美芸研)

テーマ

「人類を再発明するために必要なこと」

高橋恒一(理化学研究所 チームリーダー、全脳アーキテクチャ・イニシア ティブ 理事・副代表)

AIが人類を超越した創造性を備えるシンギュラリティー、そこへ至る道筋、 そしてシンギュラリティー以後の文明について考えます。特に、人類の歴史 と本性を踏まえて知能爆発前後の危険なフェーズをどう乗り越えてゆくのか、 そこでは東洋的、生態系的な考え方が活かせるのではないかということにつ いて問題提起します。

「“機械美学/機械芸術”に至る道程」

中ザワヒデキ(美術家、人工知能美学芸術研究会発起人代表)

人間が目標を与えれば、人工知能プログラムはよく動く。ブランコロボット はわずか十数分で人間以上の漕ぎ方を編み出すし、AI囲碁同士の対戦は人間 の理解を超えた神の闘いとなる。だから人間が人間の美学を自明的な目標と して与えれば、人工知能は芸術を作る。これが「人間美学/機械芸術」だ。 ところが人間の美学は自明ではなく、たとえば機械計算でできたエッフェル 塔は芸術家から美的でないと当初非難された。こうした「機械美学/人間芸 術」は、芸術自体を目標化した「芸術の為の芸術」に行き着く。さて今日、 人工知能は自分の目標を見つけられない。しかしこの前提が崩れれば、人工 知能は機械美学を目標とした芸術を作り得る。これが「芸術の為の芸術」に 行き着けば、人間の理解を超えた「機械美学/機械芸術」が出現する。

※(IV)「人工知能美学芸術宣言」展示中。(8)トンネルギャラリー。
※(II)「三五目三五路の盤上布石絵画第一番」「同第二番」「同第三番」 展示中。(15)センター棟B階。

「ロボットと暮らす-“ロボット/AI誇大宣伝”に対処する」

ロルフ・ファイファー(チューリヒ大学名誉教授、上海交通大学自動化学科、 リビング・ウィズ・ロボット社科学コンサルタント)

Artificial Intelligence or AI has a history of hypes. I will argue that for a number of years, there been and there still is a huge robotic/AI hype and that we are facing a big danger that the bubble will burst if we - engineers, scientists, entrepreneurs - don't manage to deliver on the promises. And we must design and build robots that do have useful sensory-motor functionality that goes beyond merely talking andsmiling. Although robots have been around for more than half a century, the term has acquired an entirely new quality since robots, roughly 25 years ago, started leaving the factory floors moving into our own living space.

04 AI美学と多神教

第14回AI美芸研 シンポジウム
2018年1月6日(土)
14:00-19:00 (開場13:30)
講堂 / 参加費無料
J/E(日英)同時通訳

パネリスト

  • 岡田浩之
    玉川大学学術研究所先端知能・ロボット研究センター主任、ロボカップ日本委員会専務理事
  • 栗原聡
    電気通信大学大学院情報理工学研究科教授 人工知能先端研究センター長【展覧会出品者】
  • 銅谷賢治
    沖縄科学技術大学院大学神経計算ユニット教授【展覧会出品者】

モデレート

  • 銅谷賢治(OIST)
  • 中ザワヒデキ(AI美芸研)

テーマ

「 "プロジェクションサイエンス" による脱身体化された認知への試み」

岡田浩之(玉川大学学術研究所先端知能・ロボット研究センター主任、ロボ カップ日本委員会専務理事)

「プロジェクションサイエンス」とは、人間の認知機構を解明するためのま ったく新しい方法論であり、表象を外の世界に投射するプロセスこそが物理 世界の刺激や情報から、主観的な経験を生む源泉そのものだと主張する。

講演ではこれまでの身体化された認知の考え方をプロジェクションサイエン スの視点で考え直すことで、脱身体化された認知という新しい認知のメカニ ズムの可能性を論じる。

特に、幽霊や神など表象の生成に直接関係する外的な対象物がない、あるい は認識されていないのに、何らかの理由で存在が信じられている現象を「プ ロジェクションサイエンス」の視点で考えたい。

「人工知能開発における西洋的・東洋的モノの見方による違いとは?」

栗原聡(電気通信大学大学院情報理工学研究科教授、人工知能先端研究セン ター長)

現在の機械学習に基づくAIは、知的情報処理技術と呼ぶ方が相応しい。そし て、いよいよ本来のAIである、汎用型・自律型AI研究開発が加速しようとし ている。AIシステムは大規模複雑化し、その全体を100%理解することも困難 になるであろう。従来の科学技術は主としてトップダウン型の方法で設計さ れてきたが、大規模複雑なシステムに対してはボトムアップ型の方法も取り 入れる必要がある。トップダウン的方法は西洋的視点と親和性が高く、一方、 ボトムアップ的方法は東洋的視点との親和性が高い。今回は次世代AIの研究 開発における、西洋的・東洋的モノの見方が果たす役割について考える。

※(III)作品「DQNによる交通信号機制御」「多段創発アーキテクチャ」展 示中。(2)講堂棟。

「自律学習ロボットは何の夢を見るか」

銅谷賢治(沖縄科学技術大学院大学神経計算ユニット教授)

つい数年前までのロボットや人工知能は、人により設計されたルールを入力 に応じて適用するものだったが、ディープラーニングとの組み合わせにより 強化学習が実問題への適用が可能になり、ロボットや人工知能は自らの行動 則を獲得するようになった。強化学習は外部から与えられる「報酬」を最大 化する枠組みであり、それはより速く走ることであったり、ゲームのスコア を稼ぐとこであったりする。ではロボットや人工知能は自らの報酬を発見し 選択することはできるだろうか?できるとしたらそれはどんなものになるだ ろうか?これらの問いに答えるべく進めている研究について紹介する。

※(IV)銅谷賢治とスマホロボット開発チーム「ロボットは自分の目標を見 つけられるか?」展示中。(20)センター棟B階。

05 人工意識/人工生命

第15回AI美芸研 シンポジウム
2018年1月7日(日)
14:00-19:00 (開場13:30)
講堂 / 参加費無料
J/E(日英)同時通訳

パネリスト

  • 池上高志
    複雑系科学研究者 東京大学大学院 総合文化研究科 広域科学専攻広域システム系 教授
  • 金井良太
    神経科学者 株式会社アラヤ代表取締役
  • 中垣俊之
    北海道大学 電子科学研究所 所長 附属社会創造数学研究センター知能数理研究分野 教授

モデレート

  • 銅谷賢治(OIST)
  • 中ザワヒデキ(AI美芸研)

テーマ

「人工の意識とアンドロイド "オルター"」

池上高志(複雑系科学研究者、東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻 広域システム系教授)

いつ私たちは心を持っていると感じるのか、あるいはマシンに心をどのよう にインストールすることができるか? これらの質問に答えるために、人を 使った実験的アプローチとアンドロイドをつくる構成論的実験の2つのアプ ローチをとる。実験的アプローチでは、知覚交差実験と呼ばれる、仮想空間 における触覚相互作用から被験者がパートナーの存在を知覚する認知実験を 紹介しつつ議論する。構成論的アプローチでは、「Alter」という名前の Androidを作成し、Alterの人間性を育むために人々と交流できるよう、セン サーと内部ダイナミクスを設計する。アンドロイドの振る舞いを紹介しつつ 人工の意識について議論する。第1の実験アプローチでは、パッシブタッチ (受身的な触覚刺激)は他者を知覚するために不可欠であることを示唆する (Kojima, H. et al. Front. Psych. 2017) 。第2の方法では、刺激回避の 原理に基づいて動作するアンドロイドの振る舞いを議論するものである (Doi, I. et al., ECAL 2017)。 仮想空間と人工生命システムを使った実験 から、ここでは、人間-AI / ALIFEの相互作用の革新的で複雑ダイナミクス の側面について議論する。(cf. 池上高志、石黒浩「人間と機械のあいだ」 講談社、2016.)

「意識と知能と生命は同じか?」

金井良太(神経科学者 株式会社アラヤ代表取締役)

意識に関して2つのナイーブな直感がある。

1.生命は意識を持っている。生命には意識があると認めがちだが、機械に は意識がないと思いがちだ。

2.高度に発達した人工知能は意識を持っている。SF映画などでは、人工知 能が発展することで、感情を持つようになり、意志を持つようになる。

無論、意識・知能・生命の3者を分析的に区別することは可能だが、本講演 では、敢えて意識が人工知能や人工生命に宿ると考える3者の密接な関係を、 理由をセルフの生成モデルと生物学的自然主義の観点から提唱する。同じ観 点から、人工知能に汎用性を持たせることで現象的意識が生じると考える理 由を議論し、統合情報理論などを用いた検証方法を提案する。

「単細胞粘菌の行動と賢さの接点を想う」

中垣俊之(北海道大学電子科学研究所所長、附属社会創造数学研究センター 知能数理研究分野教授)

ジメジメした薄暗い林床でひっそりと生きている粘菌。1分に1回の脈動を しながら、1時間に1センチメートルぐらいの速さで動き回る。何センチメ ートルにもなる巨大なアメーバ。ひっそりとした生活を送っているかと思い きや、光や風や天敵を避けながら湿気や餌を求めて、時々刻々変わる環境の 下で上手い戦略を立てていた。「行くべきか行かざるべきか?」なんてジレ ンマだって普通に起こるややこしい生活であった。人間とは全く違う姿形で あるとはいえ、生き物としての苦労は、やっぱり同じようにある。「単細胞」 などと侮ることなかれ。単細胞が愚かだという考えが愚かしい。私達は、単 細胞がどれほど賢いのかまだ知らないのだ。それは、多分簡単には解明され ないだろう。だらか、その知らないこと自体は少なくとも知っておきたいと 思う。

06 AI美学と機械

第16回AI美芸研 シンポジウム
2018年1月8日(月祝)
14:00-19:00 (開場13:30)
講堂 / 参加費無料
J/E(日英)同時通訳

パネリスト

  • 秋庭史典
    名古屋大学大学院情報学研究科准教授、美学芸術学
  • エレナ・ノクス
    パフォーマンス/メディア・アーティスト、JSPS博士研究員、早稲田大学表現工学科【展覧会出品者】
  • 久保田晃弘
    多摩美術大学情報デザイン学科メディア芸術コース教授 (都合によりインケ・アーンスは出演できなくなりました。)

モデレート

  • 銅谷賢治(OIST)
  • 中ザワヒデキ(AI美芸研)

テーマ

「美学の役割と芸術の問い」

秋庭史典(名古屋大学大学院情報学研究科准教授、美学芸術学)

わたしが話題にしたいことは二つあります。それらは、本展のタイトルに関 することです。言うまでもなくそれは「人工知能美学芸術展」ですが、ひと つめは、美学は何を目的とする学問であり、その担い手は誰なのか、という ことです。それを確認したのち、人工知能にとっての美学を考えるためにわ たしたちが準備しておくべきことは何かを考えてみたい。これがひとつめの 話題です。もうひとつは、芸術に関する話題です。といっても、芸術とは何 かを問うのではありません。その代わり、人工知能が将来生み出すであろう 産物を、なぜ芸術という名のもとで論じる必要があるのか、を考えてみたい と思います。これが二つめの話題です。

「オルター対ディープ・ビリーフ」

エレナ・ノクス(パフォーマンス/メディア・アーティスト、JSPS博士研究 員、早稲田大学表現工学科)

Elena's talk will unpack and evaluate her very recent art experiment (December 2017) Omikuji, part of a new series of AI - art experiments Alter versus Deep Belief.

Alter the robot (Ikegami Lab/Ishiguro Lab) was live-streamed by Watanabe Lab between Tokyo and Seoul. Alter has experimental AI. It uses a self-organising neural network to make sense of its world. Such AI strategies include deep belief networks, through which machines determine certain inputs to be believable.

In our world today, understanding belief systems is important to the inter-harmony and the preservation of culture. Omikuji is a participatory artwork exploring the way machines, and humans, learn to believe things - and how, via robotics both hard and soft, they may embody those beliefs. We want to uncover and express how Alter's learning is mirroring our own.

People may be prompted to ask: How sure are we in our beliefs, or in AI? How soft are they, and how hard?

※(III)作品「Canny」「Occupation」展示中。(17)センター棟B階。

「AIと共有可能な、新しい種類の美学」

久保田晃弘(多摩美術大学情報デザイン学科メディア芸術コース教授)

人間以外の他者と美学を共有することは可能なのか。人間の自然言語は、豊 かな詩的表現力を有してはいるが、それと同時に多義性や不確定性といった あいまいさからも逃れ得ない。人間がAIという他者と芸術とその美学を議論 するためには、まず両者が共有できる言語で議論の基盤を設定することが必 要不可欠である。そこで講演者らは、現代数学から得られる公理的構造が、 美的なものごとと、その背景の動的関係の本質を記述できることを示した。 美とは機能の一種であり、その一貫性と単純性が美的なものごとを生み出す。 人間に依拠しない新しい種類の美学によって、美学や芸術における人間と機 械の境界は消滅する。

cf. Akihiro Kubota, Hirokazu Hori, Makoto Naruse and Fuminori Akiba, A New Kind of Aesthetics - The Mathematical Structure of the Aesthetic, Philosophies 2017, 2(3), 14; doi:10.3390/philosophies2030014