新規生体材料を用いた神経組織再生用3次元スキャフォールドとハイブリッド製造法(No. 0215)

 
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概要

現在に至るまで、脊髄損傷に対する有効な治療法はありません。新しいアプローチとして有望なのは、幹細胞による組織再生のために損傷部位に人工スキャフォールドを導入することです。リソグラフィー法でスキャフォールドを作成する場合、構造の制御は可能ですが、所要時間が長く、作成できるサイズに制限があり、非生分解性材料を使用する等の問題があります。エレクトロスピニング法は、高速かつ低コストな製造方法です。従来のリソグラフィー法では数日かかっていたオーダーメイドのスキャフォールドが数時間で製造でき、患者の予後も大きく改善されます。しかし、従来のエレクトロスピニング法で作製されたスキャフォールドは、ほとんどが二次元で、形状、厚み、繊維の配列などをカスタマイズすることができず、しかも神経組織への応用には十分な導電性を有していませんでした。OISTの研究チームは、新規の複合生体材料と高精度なエレクトロスピニングプロセスを開発し、損傷部位に適合する3次元繊維状スキャフォールドを迅速に作製することに成功しました。これは、脊髄損傷に対する低コストの個別化再生治療法の開発に向けた画期的な一歩となります。

准教授:
マルコ・テレンツィオ

分子神経科学ユニット

応用

  • 神経再生
  • 心臓など他の組織の再生への応用可能性
  • 生体用ナノエレクトロニクスの開発

 

利点

  • 導電性、生分解性
  • 高い調整可能性
  • ベッドサイド技術:損傷後の治癒を改善するための高速かつ精密な製造技術

新規繊維材料とエレクトロスピニング法より、高精度スキャフォールドを容易に製造可能

複合繊維上でヒト運動神経細胞の培養に成功

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技術のポイント

OISTの天然ポリマーと神経ホルモン、生体色素を組み合わせた新規複合繊維材料を開発しました。材料は導電性で、完全に生分解性であり、分解速度を制御することも可能です。スキャフォールド内の繊維は、栄養因子の放出を制御できるように設計されており、複合材料固有の抗酸化作用により、組織の炎症を抑制できます。このハイブリッド製造技術は、エレクトロスピニング法の簡便や手頃な価格と3Dバイオプリンティングの設計精度と組み合わせ、完全に個別化された治療法を実現するものです。繊維は選択的に帯電したグリッドパターンによって誘導され、損傷部位に適合するテーラーメイドのスキャフォールドを迅速に製造することができます。

 

メディア掲載・プレゼンテーション

 

問い合わせ先

  Graham Garner
技術移転セクション

  tls@oist.jp
  +81(0)98-966-8937