プロテオミクスに基づく新しい手法による、ヒトiPS細胞のより健康で密に結合する神経細胞へのリプログラミング(No. 0122, 0212)

 
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概要

幹細胞は、体内にあるあらゆる特殊細胞に分化することができるため、再生医療にとって非常に重要な細胞です。2006年、従来の胚性幹細胞(ES細胞)が抱えていた倫理的な問題は、人工多能性幹細胞(iPS細胞)の開発によって解決されました。iPS細胞は、成人の体細胞を化学的または遺伝学的にリプログラミングして、ES細胞のように振る舞うようにしたものです。iPS細胞を様々な細胞種にリプログラミングすることは比較的簡単である場合がありますが、結合して機能する神経細胞の集団のような、完全に機能する組織を構築するには大きな課題が残されています。このため、iPS細胞はまだ実際の治療に広く使用されるには至っていません。ザカリ・タウフィック博士率いるOISTの研究チームは、画期的なプロテオミクス手法を開発し、iPS細胞をより密に結合した機能的な神経細胞に分化させるために最適な成長因子を特定しました。これは、iPS細胞を用いた治療法の実用化に向けた大きな一歩となります。

スタッフサイエンティスト:
ザカリ・タウフィック

細胞分子シナプス機能ユニット

応用

  • 再生医療
  • ヒトiPS細胞のリプログラミング
  • 細胞内タンパク質のプロテオーム解析
  • 臨床試験のための患者層別化

 

利点

  • より健康で、より機能的な細胞
  • 定量的プロテオーム解析
  • 他の細胞種へも適用可能

従来技術のHDプロテオミクスで同定できたタンパク質は3688種にとどまりましたが、 OISTのUDプロテオミクス・スクリーニングでは11025種もが同定

患者由来のiPS細胞から機能的なシナプスを持つ健康な神経細胞への分化に成功

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技術のポイント

OISTの革新的な超解像度(UD)プロテオミクススクリーニングでは、従来の高解像度(HD)プロテオミクス手法に比べて3倍以上の受容体タンパク質を定量的に同定し、成長因子カクテルの最適化を可能にします。受容体のリガンドをiPS細胞増殖培地に添加すると、細胞発生とシナプス形成が大幅に改善され、患者由来のiPS細胞から、より健康で密に結合した神経細胞が生成されます。このUDプロテオミクススクリーニング法は、心臓、皮膚、肝臓、血液、腎臓、肺、網膜、膵臓細胞など、他の種類の組織への幹細胞のリプログラミングを最適化するのにも応用できます。

 

メディア掲載・プレゼンテーション

 

問い合わせ先

  Graham Garner
技術移転セクション

  tls@oist.jp
  +81(0)98-966-8937