Event Report: OIST-Tohoku U Thematic Program Workshop
OISTと東北大学の国際ワークショップ「海洋環境と海洋生態系の統合的理解にむけた道筋」が2023年12月5~6日の2日間にわたって共同開催されました。テーマ別にプログラムが展開された今回のイベントは、OISTと東北大学の連携を強化するだけでなく、若手研究者の可能性を示す機会となりました。
報告:クレメント浩代、マリ・ベルグスヴォーグ
OISTが持つネットワークにおいて、東北大学は重要なパートナー大学のひとつです。両大学の研究者は、ここ数年の間に何度も交流を図ってきました。テーマ別にプログラムを組む共同開催シリーズ「海洋環境と海洋生態系の統合的理解」では、両大学の綿密な連携を通じて、OISTの研究者らも国際シンポジウム(10月)と国際ワークショップ(12月)という2つの共同開催イベントの成功に貢献しました。この2つのイベントは、1月にOISTと東北大学が締結した包括的な連携・協力に関する覚書の内容と合致するものです。
12月に開催された今回のワークショップでは、若手研究者や学生らに対し、より多くの場が用意され、イベントのコーディネートも若手の研究ユニット長(PI)や研究者によって行われました。過酷な気候変動が起こっている中、海洋生物をどのように保全するかについて研究を深めていくことが急務です。この分野の研究は、短期間で進歩していかなければならず、問題解決に貢献していくためには、若手研究者や学生らが最先端のトレーニングを受ける必要があります。
東北大学は、海洋生物学・生態学の研究・教育において長年にわたる伝統が根差している研究機関です。一方のOISTは、この分野においては比較的新しい研究機関ですが、短期間のうちに海洋生物学・生態学に関する研究ユニットを複数立ち上げてきました。今回の国際ワークショップにも、7つの研究ユニット(Armitage、Bandi、Husnik、Laudet、Luscombe、Ravasi、Sallan)から各研究ユニット長、ポスドク研究員、博士課程の学生らが参加しました。OIST研究ユニット長らとジェイミイ・キャス准教授(元・OISTポスドク研究員、現・東北大学准教授)は、異なる分野の若手研究者を集めたワーキンググループのメンターを務めました。
ワークショップには、水産研究・教育機構の増田賢嗣博士をはじめ、OIST・東北大以外からも多くの参加者がありました。力を合わせて研究を進めるためには、応用研究を行う機関なども可能な限り参画してもらわなければなりません。新たな知見が海洋生物や生態系をよりよく保全することを可能にするならば、それが漁業や水産養殖、海洋バイオテクノロジーの分野でも、より効率的・合理的な開発につながっていくはずです。
最後に、今回のテーマ別プログラム国際ワークショップは、海洋研究開発機構(JAMSTEC)の多大なご支援をいただいたことを申し添えます。これは、日本の学術機関同士の共働が、今、そしてこれからの社会において非常に重要であると示すものとなりました。