チンアナゴはサンゴ礁周辺の砂地に住む魚です。砂に掘った穴から体を出して、
英名はgarden eel(ガーデンイール)といって、砂から頭を出している様子が庭園のようだったことから名前がついています。
このサイトでは、科学的に証明されているチンアナゴの知識をお伝えします。
チンアナゴはサンゴ礁周辺の砂地に住む魚です。砂に掘った穴から体を出して、
英名はgarden eel(ガーデンイール)といって、砂から頭を出している様子が庭園のようだったことから名前がついています。
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チンアナゴといえば、みなさんはどんなものを思い浮かべますか?
水族館でよく展示されているのは、黒い水玉模様がかわいいチンアナゴとオレンジと白のボーダーがきれいなニシキアナゴです。
「チンアナゴ」は一般的にはこの1種類を指しますが、実はウナギ目アナゴ科チンアナゴ亜科という分類の名前を指すこともあります。チンアナゴ亜科には
チンアナゴ亜科はチンアナゴ属とシンジュアナゴ属に分けられ、チンアナゴは前者に、ニシキアナゴやホワイトスポッテッドガーデンイールは後者に分類されます。よく見るとチンアナゴ属は頭が丸っこく、シンジュアナゴ属は顔が細長いですよ。
ちなみに水玉模様のチンアナゴは1959年に正式に登録された種類です。比較的新しいですね。チンアナゴの中では、
一番長いチンアナゴはバーンズガーデンイール(Barnes' garden eel)という種類で、
サンゴ礁にくらし、プランクトンを食べる多くの魚は泳いで獲物をつかまえます。一方でチンアナゴは
プランクトンをつかまえるため、群れの中のチンアナゴは
自然ではカイアシというプランクトン、小さい生物の卵や幼生などを好き嫌いなく食べています。
最新の研究ではチンアナゴが姿勢などを調整することで、流れがある程度速くても食事を可能にしていることが分かってきました。
そして、食べたら排泄もしなければいけません。
このように、チンアナゴは
現在、科学的に記録された天敵はとても少ないですが、
天敵となる可能性がある魚として、ウミヘビや他の魚食硬骨魚が挙げられていますが、直接的な証拠はありません。
周りの魚に対する反応は攻撃されるリスクによって異なるようです。チンアナゴは魚食硬骨魚が近づくとすぐに穴に隠れるものの、天敵ではないサメが近くにいてもあまり大きく反応しないことが明らかになっています。
びっくりするくらいサメのことを気にしていないですね。
チンアナゴは自分でほった穴をおうちにしています。まっすぐなのか、スパイラルなのか、くねくねなのか、穴の中の形が気になりますね?画像をクリックして、答えを確認してみてください!
正解はこのように
穴の形は種類によって少し違って、チンアナゴ属はシンジュアナゴ属よりもくねくねの数が多かったり、体の長さに比べて長い穴を掘ったりしています。
みなさんはチンアナゴが穴を掘る瞬間を見たことがありますか?次の動画は穴掘りをとらえたものです。
とても速い動きでドリルのように掘っていますね!実は、しっぽ側から穴をほる時に、同時に皮膚から
その証拠にチンアナゴが隠れても、穴はそのまま見ることができます。みなさんは指を砂に入れても穴の形を維持できないですよね。
おうちを変える頻度については様々な記述があります。ほとんど変えることはないというものもあれば、多くの個体が1~2週間くらいで50cm以内に新しく穴を作るというものもあります。
チンアナゴの体はユニークなライフスタイルに合わせたような特徴があります。
顔の大きさに比べて、
他のアナゴ科の魚はほとんどが夜行性で、目も小さくできています。
また、
多くの魚が泳ぐために胸びれを使いますが、泳ぐ必要があまりなくなったチンアナゴでは、胸びれが退化しています。
しかし、よく観察すると、
チンアナゴは繁殖行動もとてもユニークです。他のウナギ目の生物はすみかとは別のところに繁殖する場所があって、そこまで繁殖をしに行きます。一方でチンアナゴはコロニーの中で繁殖をします。
チンアナゴの繁殖行動はすみだ水族館で初めてとらえられました。
生まれたレプトケファルスという幼生は近海の水面あたりを漂い、成長したところで生息地となる砂地を見つけて定住すると言われていますが、詳しいことはまだまだ分かっていません。
私たちは
この動画は流れが遅い時と速い時でチンアナゴの姿勢や穴から顔を出す長さが変わっていることをとらえたものです。チンアナゴたちはこのように
私たちの研究プロジェクトを表したアイコンを作成しました!
~参考文献~
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